Stand and Fight

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大手素材メーカーNo.1営業マンからWebエンジニアに転身した男のブログ

【メーカー営業】顧客のニーズの強さの見極め方

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メーカー営業にとって大きく悩むポイントや方向性を打ち出せずに困るポイントが

「顧客のニーズが実際どのくらい強いのかわからない」

というポイントではないかと思います。

 

多くの人々は顧客のニーズの強さを示すスタンダードがない状態で戦略を議論するため、どれだけ可能性のある案件か?どれだけリソースを突っ込むべき案件か?の共通認識が持てず、温度差が生まれ、案件がうまく進まなくなります。

 

私も何度もこの状況に陥ったのですが、なんとかならないかと試行錯誤した結果、顧客のニーズの強さがランク分けできることに気付きました。

ランク分けしてどんなアクションが取れるか?がスタンダードとして整理できていれば不毛な議論は起こらないはずです。

 

今回はその顧客ニーズの強さの見極め方を紹介します。

 

 

 

顧客ニーズの強さのランク分け

顧客ニーズの強さは以下の11段階に分けられます。

上から順に引き合いの度合いが強いです。

 

S:その製品がないとそもそも生産できない。

A:その製品がないと売れない。

B:自社で以前から実績があるので使いたい。

C:その製品には不満だが、他の製品を見つけられていないか、使えない。

D:それ以外にも代替品があるがより良いものを使用したい。

E:それがあると他の部材を省くことができ、結果的にコストダウンに繋がる。

F:他社で実績があるので使用したい。

G:その製品自体が他の製品より安くコストダウンに繋がる。

H:他社品で既に実績がある。困っていない。設計変更もない。

I:その製品の性能が足りていない。

J:そもそもスケジュールに合わない。

 

ではそれぞれのランクについて説明します。

S:その製品がないとそもそも生産できない。

これは原材料などに多いと思いますが、そもそもその製品がないと顧客の生産が成り立たないという状況なので顧客は必ずその製品を買います。

何もしなくても売れる最強の状態です。

その製品がなくても生産できる方法が見つかることが脅威ではありますが、そんなイノベーションは滅多に起こりません。

利益率もめちゃくちゃ高く設定できます。

ウハウハビジネスです。 

A:その製品がないと売れない。

Sと異なる点は、別に生産できないわけではないのです。ただ、これを使わないと売れないのです。

インテルのプロセッサとか該当すると思います。

別にインテルでなくても製品は作れるんです。

でもインテルレベルの性能じゃないと売れないんです。

 

基本的には高利益で殿様商売できますが、脅威としては代替品の性能が上がり、目標が実現できるレベルになってしまうことですね。

最近だとAppleが自社でMac用プロセッサを開発してしまったのが典型的な例だと思います。

しかしこんなイノベーション起こせる会社なんてそうそういないんですよね。。。

B:自社で以前から実績があるので使いたい。

これは自動車産業のような保守的な業界でありがちなんですが、前々から実績があるので引き続きそれを使用したい、というケースです。

そもそも社内登録も済んでいるし、改めて評価するのはスイッチングコストが高すぎるので、相当なインセンティブがないとやらないんですね。

この場合も特に何もしなくも売れるのですが、他社が何かしらの形でメリットのある提案をしてくる(多くの場合コストダウン)と脅威です。

その場合、こちらも値下げをすれば実績の差で引き続き使ってもらえますが利益は減りますね。

C:その製品には不満だが、他の製品を見つけられていないか、使えない。

これはできれば開発を頑張ってAの状態に持っていきたいところです。

開発が無理でも寄り添うふりをして先鋒の気を損ねず採用に持っていきたいです。

ただ、先鋒に設計目標を実現する強い意志があるかどうか?はしっかり確認しておきたいところ。

また開発者は継続的に他社の材料を探し続けるので、他社のより良いものが見つかる脅威はずっと付き纏います。

高利益の単価設定はできますが、あまり高すぎると他社品探索が進みますね。 

D:それ以外にも代替品があるがより良いものを使用したい。

これは真摯に対応していけば良好なまま進んで良い案件になります。

ランク的にはここまでが良質な案件と言えるのではないかと思います。

ただ、より良いものを使いたい、という意欲は本当か?は確かめておきたい。

利益率は高めに設定できますが、他社製品の性能が上がってきたり、お客さんがある程度の性能が出れば良いと妥協すると一気にポシャるので、そういった脅威はあります。

E:それがあると他の部材を省くことができ、結果的にコストダウンに繋がる。

そのコストダウンがその製品だからこそ実現できるのか?がポイントです。

他社でも実現できるのであればGと同じになります。

脅威としては、その製品がなくても設計など他の方法でコストダウンできてしまうこと。他の部材の価格がさがり、それ以上のコストダウンが必要なくなることです。

コストダウン効果が出る範囲内での価格設定しかできなくなるので、利益率高めに設定しづらいです。

F:他社で実績があるので使用したい。

何も考えていない設計者がよく考えることです。

他社実績がどれだけ大きな参入障壁として働くか?がポイントです。

まともな設計者になった途端、より安いものを検討され出すことがほとんどです。 

G:その製品自体が他の製品より安くコストダウンに繋がる。

これは買う側には大きなインセンティブになるのですが、売る側としてはコストしか戦略ポイントがなく、高利益の設定もできず、採用されてもシェアを守るためにさらなる値下げを続けなければならず、不採算な事業へと成り下がりがちです。

しかも基本的に中国品や現地ローカル品に負けます。

シェアアップを最優先に考える時は押し進めても良いですが、それ以外は捨てた方が良い案件です。

H:他社品で既に実績がある。困っていない。設計変更もない。

かなり大きなコストメリットを出して提案しないと基本的に可能性なしです。

どうしてもシェアアップしたかったり、人脈でどうこうなりそうならテーマとして押し進めるべきですが、基本的に捨てるべきです。

I:その製品の性能が足りていない。

Cの状態とは異なり、そもそも必要最低限に届いていない時です。

開発からやり直し。

営業戦略どうこう以前の問題です。

J:そもそもスケジュールに合わない。

どうやっても採用されないので諦めましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

このようにニーズの度合いを整理してみると、案件を獲得した時に、

この案件にはどのくらいリソースを割くべきか?が判断しやすいのではないでしょうか。

また、上司から「なんでこれ進めてないの?」と言われた時も反論しやすいです。

 

営業は常に科学していたいですね。