Stand and Fight

Stand and Fight

大手素材メーカーNo.1営業マンからWebエンジニアに転身した男のブログ

メーカー営業から未経験エンジニアへの転職を決心した理由

f:id:Amby:20210402142014p:plain


こんにちは、アンビーです。

私は新卒で売上高1兆円超の大手素材メーカーに新卒で入社しました。

財務状況も極めて良好で、この先20年は潰れないと言われるような企業でしたが、私はエンジニアへの転職を決意しました。

その理由を説明します。

 

 

理由①:そもそも営業職への適性がないと感じていた

私は入社3年目でNo. 1営業として社内表彰されました。この事実だけ捉えると営業職が天職のように思えます。

ただ実際にはメーカー営業という職種にかなりのストレスを感じており、すでに入社1年目の頃から適性がないと感じていました。

 

他人と打ち解けて話すことができない

特にストレスを感じた場面が、商談です。

私はもともと初対面の人やそれほど仲の良くない人と話をするのが苦手でした。

どんな会話をすれば弾むのかわからないし、相手の話に対して適切な相槌や反応がわからず、とりあえず相槌してみるものの、「この相槌で正しいのか?」などど延々考えてしまいストレスを感じていました。

また、かしこまって話すのも得意ではなく、特に年齢がかなり上の人や目上の人と話すのはひたすら苦手で、ずっと避けてきたことでした。

そのため、お客様との商談では、商談前の軽いトークもできず、打ち合わせ中のスムーズな流れも作れず、長い沈黙が続いたりして非常に苦労しました。

 

しかし営業は、初対面の人とも気兼ねなく話せて懐に入り込めて当然、という雰囲気が社内には確実にあるのです。

何か専門的な知識や技術力があるわけではない営業職は、こういうことろで価値を出していかないと用無し、という考えが、普段口に出さないとはいえ必ずあります(それ自体は私もある程度正しいとは思います)。

それに技術職にもときどき、営業なみにトークができちゃう人がいます。

こういう人と仕事をしていると、トークができない営業がいかに無価値であるかをしみじみ思い知ります。

 

雑談力、なんて本も出るくらいなのでスキルである程度なんとかできる部分もあるかもしれません(私も一応必死にスキルを向上の取り組み、多少の成果はでました)。

ただ、私は根本的に初対面や目上の人とのトークに恐怖心があり、それ自体が雑談スキルのような小手先の技ではなんともならないくらい大きなストレスになっていたことから、営業職に向いていない、と悟りました。

 

理由②:海外駐在が嫌だった

私が新卒で入社した時の志望理由の一つに「グローバルに活躍できるビジネスマンになりたい」というものがありました。

ものすごい就活生あるあるな理由ですが、その思い自体は嘘ではありませんでした。

 

しかし大きく2つの理由から海外駐在をむしろ拒絶するようになりました。

 

駐在先がほぼ100%中国になるから

1つは、「駐在先がほぼ100%中国になるから」です。

これは中国という国が嫌だというのもありますが、それよりも中国の子会社に出向になるのが嫌だ、ということです。

欧米で英語を話してかっこよく仕事をしたかった自分にとっては、デバイス関連製造業の出世コースが中国駐在である、と気づいたことはショックではありましたが、覚悟できました。

しかしとても受け入れ難かったのは、中国の子会社に出向になるととんでもない頻度で毎週飲みに付き合わさせる、ということです。

中国人はめちゃくちゃ飲むのです。それもビールだけでなく、白酒(バイチュウ)というアルコール度数50%前後の酒をショットで何杯も何杯も飲みます。

私も中国は出張で何度も訪れ、その度に白酒を飲まされましたが、何が美味しいのか、何が楽しいのか全くわかりませんでした。こんな超過労働を数年間強いられることは精神的にも、自分の健康リスクを考えても断固拒否でした。

 

結婚して価値観が変わったから

2つ目の理由は結婚です。

私はもともと、出世するのであれば単身赴任も受け入れよう。駐在先が中国でも、まあ最短2年で帰って来ることにして受け入れよう、と思っていました。

しかし結婚してからは価値観が完全に変わりました。

毎晩飲みで帰りを遅くしたくないし、日本で安全に妻と子育てをしたい、と思うようになりました。

またそもそも妻が中国に駐在したがりませんでした。

結婚してから働く理由が「自分のため」ではなく「妻のため」に変わった私にとって、妻が付いてこないのであれば駐在なんてなんの意味もなくなってしまったのです。

 

理由③:官僚的な大企業の社風が合わなかった

日系素材メーカーはまさに典型的な古い日本企業です。

体育会的な雰囲気では無いが、極めて官僚的。

年功序列でがっちり上下関係が決まっており、上の役職の言うことに必ず従わなければいけない。

・上に物申す人はほとんどおらず、時々物申すと、失礼だ気をつけろ、と言われる。

・今やシステム導入で5分で終わる作業を若手が三時間以上かけてエクセルでやらされる。

・1日の労働時間をまるまる使う、制限なし、就業時間も超過、内容は報告だけの会議が定期で必ず開かれる。目的は上司がそのまた上司に報告するため。

・会議の中では前提知識のない上の役職の人間が延々と初歩的な質問をし、最後は「しっかりやっといて」とか「整理しといて」とか抽象的で何の結論にもなっていない言葉で締め括られる。

 

こんな漫画に出てきそうな典型的な、古い日本企業の象徴のようなことが、本当に日常的に行われているのです。

 

私はこんなことを永遠に続けていて変える気もない企業に未来を感じませんでした。

自分で変えればいい、などと言う人がいますが、従業員●万人の企業の社風を変える労力なんて想像したくもありませんし、無意味ですし、そもそもそれは経営者の仕事なので、私は転職の道を選びました。

 

またこれは別に記事で書きたいですが、歳をとっただけでやる気も能力もないマネージャーがたくさんいます。

そういう環境でこれ以上仕事をしたくありませんでした。

 

理由④:ITという大成長産業の大きな波に乗りたかった

製造業の世界で仕事をする中に段々と湧いてきた思いだったのですが、今、そして今後も世界を変えるのはソフトなんです。ハードではない。

ハードのイノベーションはもうかなり飽和しているように感じました。

それよりもむしろ、今まさに産業革命を引き起こしているITの波にのり、自分も時代の変革に参加したい、と思いました。

理由⑤:起業・独立という選択肢を持ちたかった

理由③にも少し被りますが、人からの指図で仕事するのではなく、自分の頭で考えて、自分の意志で働いで充実感を得たかったです。

また、サラリーマンの先が見えている収入にワクワク感がなくなり、平たく言えば一攫千金を狙う”権利”が欲しかった。

そのための手段が起業や独立だと思ったため、その選択肢を得るためにエンジニアへの転身を決心しました。

サラリーマンとして働いていると、イライラすることが多いのですが、そのほとんどが他人の仕事が原因であることに気付きました。つまり、自分ではどうしようもできないことで自分の仕事が遅れ、誰も責めることもできずイライラしていたのです。

個人的には仕事の失敗は全て自分自身に責任を見出せた方が楽だと思っています。その方が次頑張れば良いだけなので。そう意味でも起業・独立は目指したいところなのです。

 

理由⑥:技術がほしかった

メーカーで営業をしていると身に付く力は大きく2つで、「基礎的な仕事のスキル」と「製品戦略思考」です。

この2つは非常に重要ではあるのですが、「専門性」という非常に重要なスキルが何年経っても身につきません。

「基礎的な仕事のスキル」は情報処理能力やビジネスモラルの理解ですが、この能力を何十年も伸ばしても意味がありません。この能力の成長は最初の3年だけで十分だと感じました。

「製品戦略思考」は非常に重要なのですが、コンサルほどレベルは高くなく、所詮メーカーレベルです。

また、あくまで「製品戦略」でしかなく、「事業戦略」や「経営戦略」と行った視座を持った仕事ができるのは早くて45歳以降です。

そう考えたとき、「専門性のない自分は、もし会社が潰れて放り出された時、どこにいけるんだ?」「耐えきれない程嫌なことがあっても会社から逃げられないのか?」という思いが頭をよぎりとても不安になりました。

そこで、やはり専門性が欲しい、と思うようになりました。

 

また、メーカーに勤務しているとよくわかりますが、議論で最終的に勝つのは「より知識のある方」です。つまり技術職です。

営業と技術職で議論すると大抵営業は知識と論理の差で負け、いつもマウントとられながら誰かの言いなりを続けるのです。

私はそれを構造的に仕方のないことだと考え、技術側へ行くことにしました。

理由⑦:営業は努力でなんとかできる部分が少なすぎた

営業は勉強しても報われないことが少なくないです。もちろん積み上げはいつの日か大きくなるのですが、それよりも”経験”や”才能”の方が圧倒的にものを言うと感じました。

まず、多くの業界で”営業”というものは科学されていません。ロジカルに構造化されておらず、各々が自分なりのスタイルを形成してやりくりしているのが現状です。時々誰も真似できないようなスタイルで圧倒的な結果を出す人がいますが、それに再現性はななく、多くの人はただ悶々と悩み続けるだけです。日々の自助努力の積み重ねが結果につながりにくく、むしろ自助努力などしなくても才能のある人間の方が結果が出るように感じました。

それに比べエンジニアは、日々の積み重ねが業務の結果により直接的に結びついていくように思えました。コツコツ努力することで他人と差をつけるのが得意な自分は、営業よりもエンジニアの方が向いているのだろうと思いました。

 

まとめ

以上が私が営業からエンジニアへの転職を決心した理由です。

営業のことをかなりネガティブに書いてしまっているので賛否両論あると思いますが、素直な気持ちを綴ったつもりです。

未経験エンジニアへの転職を迷っている人がいれば、私の考えが決断の一助になればと思います。